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目指せ、聖心女子大学ハープ・アンサンブル部~ハープを巡る学生たちのひたむきな青春

指導に熱の入る、田村真優講師(中央)

 

 「せっかく、ここまでハープ頑張ってきたのに、大学入ったらゼロになってしまいます。何とかなりませんか」という教え子たちの訴えから、それは始まった。日本には、学校単位でハープ習得や、同好会・部活レベルでのアンサンブルの活動を奨励したりするところは、まだまだ少ない。ハープを学んできた者にとって、音楽大学ならともかく普通校へ進学すれば、今までの努力が無駄になってしまうことがあった。その生徒は、白百合から聖心女子大学へ入学を決めていた。一方、訴えを聞いたハーピストの田村真優は、今に至るまで銀座十字屋ハープ&フルート・サロンで講師を務めており、日頃からハープを続けるための環境作りがいかに難しいか身に染みていた。そして、その教え子たちの熱意もあって、共に協力して聖心女子大学にハープ・アンサンブル部を立ち上げようということになった。

 

 いざ動いてみると、学校側も生半可な気持ちでの結成は容認せず、愛好会、同好会を経てやっと部活という道程が待っていることが分かった。田村は、銀座十字屋社長の倉田に熱弁をふるい、まずは同社サロン内に彼女たちの練習場所を確保した。かくして、学生+講師+企業というトライアングルで、大学内ハープ・アンサンブル部結成を目指すというユニークなスキームが固まった。たった2名から始めたが、オリエンテーションでの声掛け・勧誘なども功を奏し今は16名規模。コロナ禍で活動できない時は、オンラインで田村講師が演奏した動画を観ながら活動して、地道に少しずつではあるが仲間を増やしてきた。

 

 田村講師に、最もたいへんな部分を聞いてみると、部員の力の均等へ傾ける努力だという。「学生の中には、今までハープをやってきた学生もいれば、楽譜も読めない学生もいます。そういう状況でもハープを楽しめるように、細かくパートを分けたりして工夫し、練習時間が十分にとれない状況でも調整して、やっとここまできました。コロナ禍で親睦を深められない時期もありましたが、いまは上下関係もなく、ハープが身近に弾けて、クラシック問わずなんでも弾ける愛好会への早期昇格を目指して、みな頑張っています。また、銀座十字屋の皆さんのサポートにはたいへん感謝しています」。

 

 世間ではお嬢様学校と目され、楚々と控え目な印象がある聖心女子大で、積極的かつひたむきにハープに取り組む学生たちの練習をみて、正直感心した。そんな学生たちと、情熱的なゲキを飛ばしつつ、真摯な姿勢でコーチングする田村講師は、とてもよいペアリングだと思う。目下目指すは、10月15日の聖心祭における演奏の成功。さらに部員が増えて、一日も早い「部活への昇格」を心から応援したい。

 

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