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名盤リワインド⑫ フランス・ハープ作品集 / イザベル・ペラン

 

 

 教会で録音されたという。静謐な場所から、ハープの天上の音が流れ込んでくるような錯覚は、けっして余禄では生まれない。イザベル・ぺランの腕と、計算された録音場所、吟味された曲の三位一体が成立して初めて生まれたサウンドと言える。音質の良さと、アルバムの心地よさという観点からは、おそらく今までの名盤コレクションの中でも屈指のものだろう。しかも、選ばれた素材といえば、20世紀前半のフランス近代の名曲集ともなれば、非の打ち所がない。

 

 誰もが好きなフランス近代。選ばれた曲、すべてが行き届いているが、なかでも本作におけるフォーレの解釈は、全てのハープ奏者のお手本になるのではないか。「塔の中の王妃」は、とりわけ比類がない。繊細な楽器コントロールながら、メロディの輪郭が立っており、奏者の感受性がダイレクトに伝わってくる。「即興曲」も同様だ。単にフォーレの解釈を聴くためだけに買っても、絶対に損はない。個人的には、コール&レスポンスにおいて、仔細なハープによる強弱コントロールが絶妙な「即興奇想曲/ピエルネ」も推薦しておく。イザベル・ぺランランにとっては、名刺代わりの一枚であり、アルバムとして高度にバランスのとれた作品であり、フランスものが好きな方には必携の一枚といえるだろう。

 

 

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