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メストレについて言い忘れた話。

 

 ハープライフがWEBメディアとして統合されることが決まって、その準備などでちょうど年末・年始の休み前後に、情報更新も小休止していたころ、われらがグザヴィエ・ドゥ・メストレは、クリスマス・アルバム「クリスマス・ハープ」をリリースしてました。すでにお聴きになった方も多いのではないでしょうか。これからの季節、今さらあらたまって聴かないかも知れないですが、忘れないうちにお話しておきます。クリスマス・キャロルと歴史の長いハープは相性がよく、クリスマス・アルバムには掘り出し物が多いのです。特に欧米の音楽業界では気合の入る分野であり、クリスマス・アルバムを吹き込めるのはスターの証しです。特別の日に特別なアーティストの音楽に浸るというのはプレステージが高いですよね。

 

 今回、全曲ソロ・ハープ用に編曲されているのですが、なんとチャイコフスキーの「くるみ割り人形」から「花のワルツ」と、マイコラ・レオントーヴィッチュの「キャロル・オブ・ザ・ベル」では、お馴染みロシアのハープ奏者アレクサンダー(サーシャ)・ボルダチョフによる編曲が採用されているのです。サーシャは、メストレに師事したこともあります。またポスト・メストレに向け、精進し続けているのも周知の事実。数年前の来日では、メストレ何するものぞと息巻いていたくらい力をアピールしていましたが、メストレは究極の憧れであり、目指す霊峰であることには変わりなかったわけです。メストレも、かつての教え子の活躍をちゃんと見ていたのでしょうね。今回2曲も採用してサーシャの実力を認め、弟子のアシストをしている。さすが皇帝ですね。ただし、そこで終わらないのがメストレです。彼自身の編曲による「金平糖の精の踊り」も収録しているのです。これがまた最高にいい。何だか「ハープ・ソロの編曲はこうやるんだ」とCDを通じてレッスンしているかのようです。圧巻なのは、サルツェードのキャロルの演奏会用変奏曲やパラフレーズがアルバムの大半を占めていること。つまり、自身の存在を中心に据えながらも、過去・現在・未来のハープ男子の系列を見事俯瞰(ふかん)してみせた。これ、かなりスケールの大きなことです。もう春だというのに、今もこのクリスマス・アルバムに首ったけなのです。

 

 

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