お客様本位。
何なら他社製ハープを
お使い頂いても構わない。

サルヴィハープの真実 前編 総帥マルコ・サルヴィ独白

 

 今やグループ会社を含めると、ハープの世界シェア8割に及ぶサルヴィハープスのトップ、マルコ・サルヴィ氏のビジョンを訊ねた。

 

 意外なことに、野心的な展望を一切語ることなく、その眼は顧客に向いていた。冒頭のフレーズが出てきた時には、一瞬わが耳を疑ったが、問い返しても答えはひとつだった。

 

 

「ハープ業界にとって最も大切なことは、お客様が自分に合ったハープを選べる環境作りです。我々のハープにしても、無論、サルヴィハープを選んでほしい気持ちに変わりはないが、好みのサウンドであったり、経済的事情であったり、全ての方が当社のハープがフィットするとも思えません。ハープを愛し、それが長じて上達し、ハープの良さを他者へ伝えることでハープ人口が増えれば、結果としてサルヴィのお客様も増えると確信します」

 

 不敵な自信である。つまり、最終的にはサルヴィの品質にお客様が気付いてくれれば、サルヴィ・ファンは自然に増えると考えているわけだ。だが、裏打ちがなく大口を叩いているわけではない。彼には、ハープ制作を進める職人たちへの絶対的な信頼があるのだ。

 

「同業他社の買収、製品の比較を通じて、先代からハープ作りに奉じてきた我々の職人たちの並々ならぬ信念と技術力の高さを知りました。木の選び方、部品の吟味、これで終わりと言うことのない探究心。我々は、この精神をいかにそのまま引き継いでゆくかということのみに腐心しているのです」

 

 創業者である父ヴィクトールの背中を見て育ったとはいえ、自分はハープ奏者でも技術者でもなかった。だからこそ平板な目で、業界の現状と自社の評価を客観的に捉えることが出来た。良い楽器を愚鈍なまでに作り、お客様の期待に応える。創業以来の精神を、さらに純度を高める形で推進する。しかもハープ業界そのものの発展のためには、ライバルであった会社の存続にも手を貸した。ひけらかさない情熱を、彼はハープ1台1台に込めている。

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