「綾」CDレビュー

 

 西洋のものなるハープという甘えの構造を、自らの内観から断ち切り、新たな拡がりを求めたのが、このアルバムの心意気だろう。西洋への憧れがそのまま楽器になったようなハープは、いつしか未来的自我を失い、日本では西洋的なものへ依存する甘えの体質を身にまとった。同じようなレパートリー、決まった弾き方、変わらぬ演奏体系を保持するなかで、理想郷の延命を図ってきた。斯界はいわば、次代の変容を未だチャンスと捉えきれていないのである。

 

 綾はあえて和装することで、西洋の外套を脱ぎ捨てた。日本人として、ハープを等身大で受容するためだ。冒頭の1-4までの~小野小町を綴る~にこそ、本作のエッセンスが凝縮されている。和楽の間合い、作法、佇まいに、身を置いた。単に日本の曲をハープで弾いてみました・・・ではなく、和の楽想にハープという楽器が何ら抵抗なく馴染むことを、和楽器との協演で証明してみせた。いにしえの小野小町の女心を想う綾が、自分が愛し弾き慣れたハープを使うことで、和の心を寄せてゆく。共演者たなかつとむの奏でる鳴り物や三味線の呼吸にハープの音色が溶け込んでゆく瞬間に、綾の確信的意図が透けて見える。こうでなければいけないという西洋の呪縛から離れた竪琴=ハープの音は、かえってハープを狭義から救い出し、皮肉なことだがここではハープの響きから日本人としての美意識を喚起させられることだろう。

 

 ファースト・アルバムということで、先ずは方向性の決意表明があり、次に音楽的出自である洋楽としてのハープで思い出を語った後、最後に日本の唱歌メドレーがたっぷり奏でられるという、多少の目まぐるしさはあるのだけれども、楚々とした中にハープへの熱い思いが籠められているのが伝わってくる流れなので、微笑ましく感じる。可能性を感じる一枚である。

 

「ハープライフWEB」オープン記念
このアルバムを直筆サイン入りミニ色紙付で3名様にプレゼント!ご応募は、CD希望というタイトルで、お名前・住所をお書き添えの上、harplife@ginzajujiya.com へメールでお送り下さい。なお発表は、発送に代えさせていただきます。

RELATED ARTICLES 関連記事

2019.01.28

出たっ、ありそうでなかった折り畳み式のハープ台車!

2019.01.28

おすすめハープ/イリス・ナチュラル Iris Natural